桜の花びらが散り、葉っぱをつけ出すと、空も青々しく見えてきました。季節と色は深く関わりがあり、木々や空、自然の明るい色が私たちの心も明るくしているような気がいたします。暖かな天気の良い日には心おだやかに明るい自然の色を楽しみたいと思います。
4月より新卒の新入社員が2名入社いたしました。毎年この時期には新入社員研修として1週間“私たちの会社”という木輪の考え方や方向性、行動規範などが書かれた冊子を勉強しています。その研修を毎年重ねるごとに、先代から受け継いだ思想が少しずつではありますが、私自身が体験体感し、体得へと向かいながら新入社員に語り継いでいるのを実感しています。
“私たちの会社”の中に「社是」という三つのキーワードがあります。それは、「創作」「真心(まごころ)」「感謝」です。今月は「創作」について私の体験を交えて触れたいと思います。
創作・・・人の真似はしないこと。既成概念にとらわれずに現状打破の精神で、新しい領域を自分で創造していく。
私はこの考えから、木輪では他店でつくられている商品は追従せずに、どこにもないような商品をつくることだと思っていました。したがって、めんたいフランスは木輪でなくとも他店にあるから木輪ではつくらないと考えていました。ところが、めんたいフランスをつくってほしいという声は大きく、それでもかたくなに「つくらない」という姿勢を貫くのはよくないと思いはじめたのです。
そこで、めんたいフランスの開発に着手しはじめました。シンプルなパンだけに木輪ならではの特徴を出すのはとても難しいものでした。今までの新商品以上に試行錯誤し、微妙な味、食感、ボリュームなどのバランスを調え、2ヶ月の間に20回ほど試作を重ねました。そして、満を持して4月より発売を開始いたしました。博多老舗めんたいこメーカー「ふくや」のピリッと辛い明太子と、木輪の旨みのあるフランスパンがそれぞれの良さを引き出し合い、隠し味には北九州の老舗醤油メーカー「ごとう醤油」のあごだしを使用し、他では味わえないめんたいフランスが出来上がりました。お客様の反応も今のところ上々のようです。
今回の新商品開発を通じて、「創作」というのは、めんたいフランスとは全く異なるパンを開発することも「創作」ですが、同じめんたいフランスでも他店にない木輪でしか味わえないオリジナルのめんたいフランスを開発することも「創作」だということに気がつきました。そして、自身の世界観、想いを持って「創作」することも大切ですが、お客様や周囲から望まれて「創作」することも大切であるということを学びました。とても良い学びとなりました。ありがとうございました。