木々のささやき 312号

たんぽぽの種のように

 木輪で育った社員が、たんぽぽの種のようにあちこちに飛んでいき、着地した所で新しい命を生み、美しい花を咲かせ、地域の人を喜ばせてお役に立つパン屋になって欲しい。私の心からの願いです。

 昨年十一月に、木輪でパン造りを学んだ二人があいついで独立開業を果たしました。又、十月には、私と共に素心学を学んでいる仲間も新しい場所に移転し、開店しました。これで六年前に独立した元社員を含め四人が開店したことになります。私にとってとてもうれしい限りです。

 六年前に独立したのは今﨑拓さん。現在小倉北区で”ブリックバイブリック”というパン屋を営んでおられます。五年間の修業のあと独立いたしました。今では、地域の皆様にとても愛される店となり、評判も上々。有名店への道を着実に歩んでおられます。地域の新聞や雑誌にも取り上げられ、テレビでも紹介されています。このたび一月十一日(水)放映の”ももち浜ストア”という番組で、北九州人気パン店のうちのベスト5にノミネートされ、木輪とともにテレビで紹介されることになりました。この上もなくうれしいことです。

 十一月一日に開店したのは、佐藤(旧姓 内野)愛子さん。彼女は木輪の初代店長として十一年間一緒にパンづくりを学び合った頑張り屋さん。とてもセンスのよい、またお客様思いのパンを造っていました。木輪を退職したあと陶芸家である現在のご主人と結婚され、門司駅の近くで子供さん二人を育てながらの開店です。お店には彼女の個性あふれる商品が並んでいます。材料や製法、おいしさにこだわる彼女です。そんな彼女のお店の名前は、旧姓そのままの”うちのパン”コンセプトは”ぱんとうつわ”です。よろしくお願いいたします。

 同じく十一月二十六日開店した福岡市大橋にある”Yakichi(やきち)”。店長 藤川優さんのお父様の名前をいただき店名としたそうです。木輪で六年勉強したあと、さらに二年間東京で学ばれ、その時知り合った奥様と結婚され、福岡にもどってこられました。本人がパン造り、奥様がパンの販売とほんとうに小さなパン屋さんですが、彼のつくるパンはとてもいい顔をしています。開店して間もない現在、必死になって日々パン造りに励んでいる姿がフェイスブックを通して伝わってきます。奥様のお腹の中の赤ちゃんのためにもしっかり頑張って欲しいですね。

 そしてもう一店。私と共に素心学を学んでいらっしゃる方が新店舗を熊本県人吉市でオープンしました。とても設備の充実した店舗で広さと美しさは充分魅力あります。お客様に安心と喜びを与える店づくりと社員を大切にされる経営をめざされています。

 専門性と人間性を兼ね備えた人材を育て、彼らが独立開業していくという私の長年の夢が少しずつ現実のものとなってきました。四名の同志がこれからますます地域のお客様に愛され、お役に立ちさらに彼らのお店で働く社員共々幸せな日々を送れるようになることを切に望んでいます。又同じ経営者という立場で意見交換ができ共に成長していく姿を思い描いています。

 

2017年1月 第312号より 芳野 栄