春が一気にやってきました。庭の草花の色やグングン伸びていく葉や茎の勢いから、春のエネルギーを感じます。まだ朝晩は冷え込む日もありますが、このような陽気に胸躍らせつつ日々充実させていきたいものです。
今年の大晦日から正月三が日に私の修業先でもある千葉のパン屋へ行ってきました。そのパン屋は全国的にも“パン好きの聖地”と呼ばれるほどの人気店でいつも行列ができるようなパン屋です。私がお世話になる17年前にはすでに人気店でしたが、今でも変わらず、さらにその勢いは増していたような気がしました。流行(はや)り廃(すた)りの多い業界ですが、長きに渡って繁盛している理由を知りたいと思いました。
今まで、自店のレベルアップを図ることが優先すべきことだと考え、地道にコツコツと社内の雰囲気を良好にすることやその環境整備に注力し、「他店や流行に流されてはいけない」と考えていました。ところが、今回修業先に帰って四日間勉強する中で、「今まで偏った考え方をしていたな」と反省するほど刺激があり、また自店を客観的に見つめることができました。修業先のパン屋が繁盛し続け、お客様を満足させている理由のひとつとして「よく研究し、工夫改善されている」ということです。商品一つとってもパンの生地、食材の使い方やその見せ方などとても魅力的でした。私が勤めていた頃と変わらないこともたくさんありましたが、そのほとんどが材料や製法、工程、見せ方、店作りなど進化していると感じました。
中国 明(みん)時代の学者 催後渠(さいこうきょ)が唱えた六然訓(りくぜんくん)に 「自処超然(みずからしょすることちょうぜん)」という教えがあります。自分(自店)を突き放し、客観的に見ることで、その欠点に気づき、それを正していくことが私(木輪の社長)の務めです。
今年はこの務めがおろそかにならないように、人間性を高め、そしてパンや食全般、経営に対しても謙虚に学びを深め、保守的にならず変革していくことに時間を割いていきたいと思います。