素心学(池田繁美先生)では、心のクセを正し、素直な心に近づく方法の一つとして「日常の心がけ」の実践というものがあります。思いやりをベースにした二十一項目の基本的な行動を習慣化して身につけていくことで素直な心に近づきましょうということです。
私の昨年の目標は、この「日常の心がけ」を実践し、言動や立居振舞を美しくして、魅力的で周囲の人から好かれる人間に近づけるよう自身を躾けていくことでした。毎日の行動の中で二十一項目に意識をはらいながら過ごしていくことは、とても大変なことですが、現在の自分より少しでも周囲の人から好かれるようになろうと思えば、それなりの努力と覚悟が求められることとなります。
昨年の年末に”この一年を振り返ってみよう”と題して、今年のトピックスや今年成長したと思うこと、反省点、さらには来年の目標などを書き出してみて下さいという課題がありました。その中で自分が成長したと思うことについてなかなか書けませんでした。「日常の心がけ」を一年間意識して行動した結果は、以前の私と比較して二十一項目とも自己評価はあがったと思うものの、全体を見た時に「ここが成長したなあ」あるいは、「ここが以前の自分より変化したと思う」と断言してあげることができませんでした。
以前池田先生から素心学の学びの中で、”木を見て森を見ず”で終わってはいけませんという話を聞きました。それは、徳目一つ一つの自己評価が”0”であったとしても次のところにいたっていなければ、徳目を身につけたとは言えませんとして、
・立居振舞が美しい
・全体の雰囲気がやわらいでいる
・周囲から好意を持たれている
をあげられました。まわりの人からこのように思われないと、単なる自己満足での個別評価にすぎないということです。さらに”自画自賛”であってはいけませんということでした。
今回一年を振り返ってみた時に、二十一項目一つ一つの自己評価が上がったとしても全体として自分の成長や変化を断言できなかったということは、”木を見て森を見ず”の評価にすぎなかったことがわかりました。
今年も再度、「日常の心がけ」に取り組み、先に述べた「立居振舞が美しい」「全体の雰囲気がやわらいでいる」「周囲から好意を持たれている」とまわりの人から思われるよう、覚悟を決めてさらに深めてまいりたいと思います。
2017年3月 第314号より 芳野 栄